カーライフお役立ちマガジンCAR LIFE MAGAZINE

その社外マフラーは大丈夫?車検における騒音規制の概要と注意点

 
その社外マフラーは大丈夫?車検における騒音規制の概要と注意点

大きすぎるとOUT!車検時の騒音規制について

車検の検査項目の1つに、法律で定められた騒音規制に適合しているかがあります。今回は、車検時の騒音規制の概要・注意点や不合格時の対応について、詳しく解説いたします。

目次

車検での騒音規制どのぐらいの音までなら大丈夫なの?

車検での騒音規制どのぐらいの音までなら大丈夫なの?

車のエンジンをかければ「作動音」が、車体最後尾のマフラーからは「排気音」が発生します。また、タイヤが地面に触れた際発生する「道路ノイズ」も、車から出る音の1つです。そして、それらの音には法律で定められた「騒音規制」が存在します。

■車における騒音規制の指標は3種類

先ほど、車を動かして発生する音には、全てに騒音規制があると述べました。とはいえ、作動音・道路ノイズが排気音よりうるさいケースはまれで、その場合は故障・トラブルが発生していることがほどんどです。そのため、車の騒音規制とは一般的に、マフラーからの排気騒音に対する規制を指します。

そして、規制を受ける車の排気騒音には、加速排気騒音・定速排気騒音・近接排気騒音という、3つの指標が存在します。

■車検時にチェックする騒音規制は「近接排気騒音」のみ

3つの排気騒音指標のうち、皆さんに直接関係あるのは、車検で必ずチェックされる「近接排気騒音」になります。そして、車種ごとの新車時点での近接排気騒音の規制値(db)は、下のようになっています。

・乗合車、貨物車(車両総重量が3.5t超、最高出力が150kW超):94db
・乗合車、貨物車(車両総重量が3.5t超、最高出力が150kW以下):93db
・乗合車、貨物車(車両総重量が3.5t以下):92db
・車両後部にエンジンを有する乗用車:95db
・車両後部にエンジンを有するもの以外の乗用車:91db

ただし、上表で示した規制値は平成28年以降新規登録した車に適用されるもので、それ以前の年式の場合は、「平成10・11年騒音規制」や「平成元年騒音規制」が適用され、それぞれ車種によって規制値が異なります。

また、マフラーを交換した車については、純正・社外に関わらず新車時の近接騒音規制値に「5db加えた値以下とする」ことが定められています。つまり、エンジンが後ろに付いているFR車にスポーツマフラーを搭載した場合、合計100db以下でないと車検を通過しません。

■車検時の近接排気騒音測定方法

車検時の近接排気騒音測定は、マフラー排気口から45度の角度を取り測定器を50cm離れた場所に設置して実施します。まず十分に暖気し停車状態でギアをニュートラルに入れ、最大出力の約75%程度までアクセルを踏み込みます。その状態を数秒間保った後アクセルを離し、その間の「最大音量」を計測します。

■車検の騒音規制で不合格!どの程度の音がしてる?

実際に車検を見学すればわかりますが、近接排気騒音検査時はかなり大きなエンジンのうなり音がします。そのため、「もしかしたらうるさくて不合格かも?」と、心配になる方も多いはずです。ただ、マフラーを交換したわけでもなく、これまで普通に車検を通過してきたのなら、車検時の騒音規制で不合格になることはあまりないでしょう。

というのも、車検時の排気騒音規制値である約90dbは想像以上に大きな騒音で、盛り上がっているカラオケ店の店内や、犬が近くで吠えたときの音量に匹敵するからです。また、スポーツマフラーを付けたFR車が許容されている100dbともなれば、人でごった返す地下鉄構内や、電車通過時のガード下レベルです。

万が一、車検時に排気騒音規制で不合格になった場合は、大きな騒音を出し周囲に多大な迷惑をかけていることになります。ですから、一刻も早く対応し騒音規制をクリアするよう心がけましょう。

車検の騒音規制で不合格となる原因と対応

車検の騒音規制で不合格となる原因と対応

前述のように「いつも問題なく車を使用してきた」場合、車検時の排気騒音規制で不合格になることはまれです。また、純正品はもちろん社外マフラーであっても、法律で定められている「5db」の範囲を守っていれば問題ありません。

しかし、年々厳しくなる基準に則り検査が実施される以上、絶対に合格するとは限りません。そこで、車検の排気騒音規制で不合格になる原因と、取るべき対応について見ていきましょう。

■車検の騒音規制で不合格になる原因1「経年劣化などに伴うマフラーの破損」

マフラーは「サイレンサー」とも呼ばれるように、エンジンで発生した騒音を軽減する役目を担っています。そして、走行中に気が付くほど騒音が発生している場合、マフラーが破損している可能性が高くなります。

破損する原因はサビによる腐食や、障害物にぶつかったことなどが挙げられます。このうちサビについては、近年装着されているマフラーがステンレス製になってきたため、数年で激しく破損するケースは少なくなりました。サビによる腐食で穴が開いた程度なら、軽く異音がする程度です。そのため、車検時に指摘されるまで、全く気が付かないユーザーも多くなってきます。また、排気ガス中の水分排出が上手くできない寒冷地や、豪雨・豪雪地方で長年使用している場合は、サビによる破損の発生リスクが高いので注意しましょう。

縁石や落下物などへの衝突による破損は、いつでもだれにでも起こり得ます。衝突によってマフラーが大きく裂けたり脱落した場合は、爆音が発生するだけではなく、安全走行に支障が出ます。そのため即座に運転を中止し、行きつけのディーラーや修理工場の連絡しましょう。

ちなみに、直径1cmほどの小さな穴なら、カー用品店やホームセンターで市販されているマフラー用の補修剤を使った「DIY修理」も可能です。一方、衝突による破損は程度が激しいケースが多く、補修剤や溶接では修理できないこともあります。その結果、新品もしくは中古マフラーと交換が必要なため、車種によりますがいずれも数万円のコストがかかります。

■車検の騒音規制で不合格になる原因2「交換したマフラーの取付不良」

前項で、車検に通る通らない関わらず、マフラーが激しく破損・脱落した場合は、すぐに交換を依頼すべきと述べました。しかし、一度マフラーを交換した車は、後々実施された車検時の排気騒音規制において、適合しないケースが多く見られます。

マフラーはエンジンに近い場所から、

● エキゾーストマニホールド
● エキゾーストパイプ
● 各種センサー
● キャタライザー(触媒)
● サブサイレンサー
● プリサイレンサー
● メインサイレンサー

といった具合に、数多くのパーツによって構成されています。

そして、それぞれ数ヶ所で車体と接続されているため、わずかでも取付に不具合があると走行中の振動により再度破損し、排気騒音規制に適合しないことも。なぜなら、衝突でマフラーが破損した場合、車体自体にもダメージが及んでいることがあります。そして、プロは目に見える損傷ならマフラー交換時に調整しますが、「わずかなズレ」はどうしても残ってしまいます。

年式が古い車ほど、腕の良い整備士でも完璧な取付作業が困難になります。ですので、衝突でマフラーが激しく損傷した場合は、コスト的に乗り換えや廃車も視野に入れるべきと考えています。

■車検の騒音規制で不合格になる原因3「加速騒音規制に適合しない社外マフラーの装着」

近年、社外マフラーに対する車検時の騒音規制は厳しくなっています。実は、平成22年4月1日以降に生産された車の場合、従来の近接騒音規制だけではなく、「加速走行騒音を防止する規制」が適用されるのです。しかも、車検時に測定するスタイルではなく、当該社外マフラーの加速時騒音を事前測定。その結果、保安基準を満たしているかを関連団体が証明する、「事前認証制度」が採用されました。

具体的には、JQR・JATA・JARIいずれかの確認機関名、および識別番号やエンジン型式が刻まれた「認証プレート付き社外マフラー」でないと、検査はおろか車検を受けることすらできなくなったのです。

ですので、余計な心配をしたくない方は、純正マフラーで我慢したほうが無難。どうしても社外マフラーに変えたいときは、認証マフラーかどうかを念入りに確認するようにしましょう。

まとめ

まとめ

静かなドライブを提供してくれるマフラーは、車検時の排気騒音規制はもちろん、環境保全にも寄与する大切なパーツです。ですので、日頃からマフラーからの異音や、排気ガスの異常をチェックし、傷が浅いうちに素早く対応するようにしましょう。

「愛車の排気騒音は大丈夫?」という相談にも随時お応えします。コスモの車検はこちらからどうぞ。  

筆者プロフィール

筆者プロフィール

仲野健太

1976年生まれ、福岡県出身。地元ガソリンスタンドで副店長を務めていた際、3級整備士取得。同社指定工場で上長をサポートしつつ整備技術を高め、2級整備士を目指していたものの、会社がガソリンスタンド事業から撤退したため退職。その後つてを頼って中古車販売店に就職。その後縁があり再びガソリンスタンド会社に就職し、その時ふとしたことからライターの仕事と出会う。フリーライター歴は約5年。本格的な整備はもちろん、買取業者比較やメンテナンス、おすすめカー用品紹介やカーローン解説など、多岐にわたる関連記事を手掛けている。ユーザー目線のわかりやすさや、実体験に基づくオリジナリティの高さに定評がある。

車検に
ついて詳しく見る

記事一覧へもどる