修理のプロ、板金塗装のイロハを元板金屋が解説

ここでは、実際にどのような流れで板金塗装が進むのか、詳しくご紹介します。

■修理箇所のチェック

まずは、板金塗装業者に傷の状態を確認してもらいます。傷の具合から、表面的な修理を行うのか、内側からアプローチしていくのかチェックします。業者ごとに、傷に対してのアプローチが変わるため、複数の業者に見積もりを依頼しましょう。

■へこんでいる箇所を叩き出す

へこみに対して表面からアプローチできる場合は、ハンマーと当て盤を用いて、ある程度へこみを復元していきます。ドアなどパネルが袋状になっている場合は、スタッド溶接機を使用し、へこんでいる部分にワッシャーやピンを溶接します。そこにスライドハンマーをセットし、ハンマーをスライドさせる衝撃でへこみを引き出します。

■絞り作業＆研磨作業

へこみを引き出す作業を行うと、金属素材の伸展作用によって伸びてしまいます。金属が伸びたままだと、強度が落ちるだけでなく、パネルを押したときに戻りません。これらの弊害を防ぐために、「絞り」という作業をスタッド溶接機で行います。加熱して焼けた部分は、エアサンダーで表面を削り落とします。その後、表面をさらに滑らかにするために、ダブルアクションサンダーで綺麗に整えます。面出しを終えたら、パテ付け作業を行い、職人の感覚をもとに最終的な研磨をして完了です。

■塗装前の下地処理とマスキング

傷の修理を終えたところで、塗装作業の準備を行います。まずは、マスキングテープや養生テープを使用して、塗装しない部分の保護をします。その後、塗装面に残った油分を除去するため、「脱脂」を行います。脱脂後は、サフェーサーといわれる下地処理用の塗装を施し、金属部が錆びないよう処置します。

■塗装前の足つけ作業

塗料がしっかりとパネルに密着するよう、足つけ作業を行います。研磨用のペーパーの番手を徐々に細かくし、塗装面を滑らかに仕上げていきます。最終的に水研ぎという作業を行うため、エアブローで綺麗に水分を除去します。塗装面が綺麗になったら、再度マスキングをして塗装工程に入ります。

■塗装作業

純正カラーと同じ塗料を準備したら、塗装作業の開始です。まずはベースコートを塗装し、最終的にトップコート（クリア塗装）をぼかすように全体になじませます。塗装後は必ず乾燥工程を挟むため、時間を掛けながら丁寧に作業を行います。

■塗装面の仕上げ

塗装が完了したら、塗装面を綺麗に仕上げるための工程に移ります。しっかりと塗装面を冷却し、塗装中に付着したホコリやゴミを取り除きます。目の細かいペーパーで表面を整え、最後にコンパウンドとポリッシャーで肌調整を行います。作業終了後は、車体を綺麗に洗車して納車となります。

板金塗装の流れを知ることで、予算や仕上がりのレベルに応じたお店選びができます。「信頼性」「納期」「費用」などのバランスを考慮し、自分にあった板金塗装業者を探しましょう。コスモのサービスステーションでは、無料で板金塗装の見積もりを依頼できます。お気軽にお問い合わせください。
キズ・ヘコミに関するご相談は、こちらからどうぞ。