キズ・ヘコミ
2022.11.11
アルミ素材の板金修理は可能?元板金屋が解説
アルミ素材は板金修理が可能?
アルミ素材を採用した車は、板金修理が可能なのでしょうか?鉄と比べて、アルミの板金は難易度が上がります。アルミボディの板金修理を断られた方、これから検討している方は、今回の記事を参考にしてください。
アルミ素材の板金修理とは?
近年では、高級車や外車を中心に、車体の軽量化を目的としてアルミ素材を採用する車が増えました。車体の軽量化を行うことで、走行性能の向上や、燃費性能向上に期待できます。しかし、アルミ素材のパネル修理は、鉄よりも加工が難しいため費用が割高になります。次の項では、アルミ素材の板金修理について詳しく解説します。
■アルミ素材の板金修理は専用の設備が必要
アルミボディの板金修理は、鉄に比べて難易度が高いことから、専用の設備でないと対処できません。アルミ素材の修理に対応していない業者の場合、修理ではなく部品の交換を提案されます。部品ごと交換になると、修理費用が高くなるため、少しでも出費を抑えたい方は、アルミ板金に対応した業者に相談しましょう。
アルミ素材の車が少ない理由とは?
軽量で丈夫なアルミニウムですが、従来の鉄と比べて普及が進まない現状があります。魅力的な素材ではあるものの、採用する車が少ないのには理由があります。ここからは、アルミ素材が普及しづらい理由を解説します。
■アルミ以外の素材の普及
ボディの強度を保ちつつ、軽量化できるアルミ素材は、鉄に変わる素材として最適でした。しかし、日本でアルミニウムを精製するには膨大なコストが掛かるため、従来の鉄ほど普及しませんでした。大量の電力、アルミボディを組み立てる工数の多さが、大量生産を難しくする理由です。そのため、現在はアルミ素材ではなく、鉄よりも強度が高く、軽量なカーボン繊維の採用が進んでいます。さらに、高張力鋼板やホットプレス材など、鉄の強度を高めて簿肉化する技術革新も、アルミ素材の普及を妨げました。
■アルミ素材は板金加工が難しい
アルミ素材の難点は、修理をする際の板金加工の難しさにもあります。鉄製パネルの場合、叩くとへこんだ部分にしわ寄せが集中して、盛り上がってくる特性があります。しかし、アルミ素材は叩いた部分しか伸びない特性があるため、加工作業には長年の経験が必要です。また、先ほども簡単に触れましたが、アルミニウムの特性に応じた専用の設備も必要です。「アルミスタッド溶接機」「アルミ製のビット」「アルミハンマー」など、アルミ専用の設備や工具を備えている業者は限られています。そのため、アルミ専用の設備を完備していない修理業者では、板金修理ではなく部品交換になってしまうのです。
アルミ素材の板金修理の流れ
アルミ素材のボディは、どのように修復していくのでしょうか?プロの修理業者でも難易度の高い修理ですので、DIYでチャレンジするのは避けましょう。アルミ素材の板金修理について、元板金屋の筆者が解説します。
■傷やへこみの修正作業
鉄製パネルの修理とは違い、アルミパネルは叩き方や引っ張り方にコツがいります。アルミ専用のハンマーとスタッド溶接機を使用し、慎重にへこんだ部分の修理をします。アルミニウムの特性上、電力が低いと溶着せず、反対に高すぎると、簡単にアルミパネルに穴が開いてしまいます。適正な電力でビットを溶接する作業は難しく、長年の経験が必要です。ビットをボディに溶接した後は、引き出しツールを使用して引っ張り出します。アルミパネルに穴が開かないよう、ガスバーナーで温めながら慎重に作業を行います。無事にパネルを引っ張り出せたら、ビットを切断してベルトサンダーで整えます。わずかに残ったへこみは、パテでなだらかにして修正作業は完了です。
■下地処理
傷の修正を終えたら、塗装前の下地処理に入ります。サフェーサーと呼ばれる塗料を修理箇所に塗り、耐水ペーパーを使用して水研ぎを行います。目の細かい耐水ペーパーを使用することで、パネルを元通りの綺麗な状態に成形します。仕上がりを左右する工程なので、見る角度を変えたり、光を当てたりしながら何度もパネル表面をチェックします。
■塗装
ホコリをシャットアウトした塗装ブースで、修理箇所の塗装を行います。純正色を車体の状態に合わせて調色し、修理箇所周辺と違和感のないよう、丁寧に塗装します。塗装工程は、職人による技術の差が出やすい工程です。板金塗装業者の実績や口コミを参考に、業者選びを行いましょう。
まとめ
アルミボディの板金修理は、依頼する業者をきちんと選ばないと、修理費用が高額になる可能性があります。本記事では、アルミボディの修理する方法や、アルミ素材の特徴を紹介してきました。アルミボディの修理に関しての疑問は、お近くのコスモのサービスステーションにご相談ください。
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筆者プロフィール
moto
1986年生まれ。自動車整備学校を卒業後、板金屋を経て地元の整備工場で整備士として働く。車業界歴は7年。国内外の乗用車からカスタムカーまで、様々な車を整備してきた知識と経験が強み。整備士を離れた現在は、ライターとして中古車の選び方などを中心にメディアへ出稿。週末は子供と一緒に釣りやアウトドアを楽しんでいます。