対人賠償保険って？どんな補償を受けられるの？

対人賠償保険について知ろう

対人賠償保険とは、どのような保険なのでしょうか。対人賠償保険の補償内容と必要性、また、対人賠償保険に加入する際のポイントについて調べました。

目次

対人賠償保険って何？
対人賠償保険に加入しよう！
まとめ
筆者プロフィール

対人賠償保険って何？

■自賠責保険の足りない補償を補う任意保険
車は便利な乗り物である一方、おそろしい交通事故を起こすリスクも持ち合わせています。交通事故を起こすと、加害者は被害者に対して慰謝料を支払うことが求められます。でも、加害者側に貯蓄がないなど、慰謝料の支払能力がないと、被害者側は慰謝料を受け取ることができません。被害を受けたのに慰謝料をもらえず、泣き寝入りするしかないなんて理不尽ですよね。そこで、交通事故の被害者がきちんと慰謝料を受け取ることができるように、日本ではすべての車に「自賠責保険」の加入が義務づけられています。

自賠責保険は、交通事故で相手を死傷させたときに負う損害賠償額を補償する保険です。自賠責保険の具体的な補償内容は以下の通りです。
・相手のケガの治療費や休業による損害などを補償（最高120万円）
・相手を死亡させたときの葬儀費用や慰謝料などを補償（最高3000万円）
・相手に後遺障害を負わせた場合の慰謝料などを補償（最高4000万円※後遺障害の程度による）

こうして見てみると、自賠責保険の補償内容は事故の相手に対するものしかなく、しかも金額も限定されていることがわかります。そのため、車を運転する人は任意の自動車保険に加入して自賠責保険では足りない補償を補う必要があります。任意保険では、「対人賠償保険」「対物賠償保険」「人身傷害」「車両保険」などから必要なものを組み合わせて、自分で補償内容を設定することができます。

■対人賠償保険は何を補償する？
任意保険の補償のうち「対人賠償保険」は、他人を死傷させて損害賠償責任を負った場合に役立つもの。補償の対象となる人は「他人」ですので、自分や配偶者、子どもなどは対象外です。
例えば、自分・配偶者・友人を乗せた車で他の車に衝突する事故を起こしたとき、対物賠償保険の補償の対象となるのは、相手の車に乗っていた人と、自分の車に乗っていた友人ということになります。この場合、相手の車に乗っていた人に対しては、自賠責保険からも保険金がおりるので、その額をオーバーした分が任意保険の対人賠償保険から支払われます。

対人賠償保険に加入しよう！

もしもの事故に備えるために、ぜひ加入しておきたい対人賠償保険。ここで、対人賠償保険に加入する際に知っておきたいポイントについて見ていきましょう。

■対人賠償は「無制限」が基本
補償の限度額が決まっている自賠責保険とは異なり、任意保険では補償の限度額も自分で設定することができます。では、対人賠償保険の限度額は、どのくらいに設定するのがよいのでしょうか。

対人賠償保険の限度額は、「5000万円」「1億円」などを選ぶことができる場合もありますが、一般的には「無制限」を選ぶとよいとされています。というのも、過去の判例を見てみると、人身事故の慰謝料は数億円と高額になるケースもあるためです。例えば、対人賠償の限度額を「1億円」に設定していた人が交通事故を起こし、「3億円」のような高額な慰謝料を請求されたとしたら、とても支払うことはできないですよね。そんな事態を防ぐために、対人賠償の限度額は「無制限」にしておくのが無難です。

■対人賠償保険を使うと等級はどうなる？
任意保険では、事故リスクの大きさに応じて保険料の割引率が変わる「等級」というしくみが採用されています。最初に任意保険に加入する際は「6等級」からスタートし、1年間保険を使わなければ、翌年は等級が1つアップ。等級が高くなっていくほど、保険料は安くなっていきます。

逆に、事故を起こして保険を使うと、翌年の等級はダウンします。等級がいくつダウンするかは、事故の内容により異なりますが、対人賠償保険を使う事故の場合は3等級ダウンと決められているようです。対人賠償保険を使うと、翌年の保険料は高くなるということは覚悟しておいたほうがよさそうです。

■対人賠償保険で補償されない、自分のケガや車の修理費などに備えるには？
対人賠償保険の補償の対象となるのは、他人が死傷した場合のみ。自分自身や家族、それに事故で壊れた車や物などに対する補償はありません。
そのため、任意保険に加入する際は、対人賠償保険以外にもさまざまな補償をつける必要があります。事故で壊れた他人の車や物に対しては「対物賠償保険」、自分自身や同乗者のケガに対しては「人身傷害」、自分の車に対しては「車両保険」で備えることができます。